橋本治戦記

橋本治さんの遺作にして未完の大作「人工島戦記」を、如何に読み終わらずに読み続けられるかチャレンジする日記です。

20220524「人工島戦記」第四章〜第十一章

冒頭から昭和三十年代のことや比良野市のことをエッセイや評論のように語っていた「人工島戦記」ですが、第四章になって今作の主役である「現代の大学生」と言う紹介とともにテツオとキイチと言う男の子二人が登場してきました。

さて、この「現代」っていつなんだろう?と思ってたら、平成五年の1993年だとありますね。令和四年の現在からすると、三十年ほど前のことになりますか。

その頃の橋本治は何を書いてたんだろう?とふと思って、KAWADEムック「追悼総特集 橋本治」で著作リストを確認してみると、1993年のリストには「源氏供養」上下、「ぼくらのSEX」「ぬえの名前」「古事記」とありますね。

この著作リストは出版年月で作られてるもののようですので、実際に1993年に橋本治が書いていた作品ということになると、「ヤングサンデー」に連載されていて1994に刊行された「貧乏は正しい」あたりでしょうか。

いずれにしても「窯変源氏物語」の刊行が終わったあたりですかね。

1993年当時、自分が二十一歳でテツオとキイチが十八歳と十九歳の設定ですので、お互いアラフィフになっている今となってはほぼ同年代ですが、当時に戻って横に並んだら、十代二十代の頃の二歳差三歳差は小さくない年齢差と感じたでしょうから、世代感覚的に自分が少しだけ歳上なつもりの視点を、今現在の五十歳な自分の視点と重ねて持ち合わせて読み進めようかなと思います。

(ああ、「貧乏は正しい」シリーズの読み直しもしたくなってきたけれど、昔買った本を詰めてあるダンボールの山の中を探索に行くのか、それともあらためて買っちゃうか迷うな〜、そもそもロフトに積み上げてる方にあるのか、押し入れにぶち込んである方にあるのかからわからない。。。)

#橋本治 #人工島戦記

20220523「人工島戦記」第一章〜第四章

「昭和の三十年代というのは、とんでもない時代だった。」
と「人工島戦記」は始まりますが、そこで例に挙げられているとんでもなさは、カレーライスにソースをかけるとか、外国行き飛行機もプロペラ機だとか、汲み取り式のお手洗いとかステテコとか、昭和四十年代後半生まれの自分にとってはそんなに違和感ない、何なら懐かしささえ感じちゃうようなもので、「ああ、自分の過去や追憶は『とんでもない』と言われるようなものだったのかぁ。。。」などと、なんとなく他人事のようにぼんやり考えているうちに、小説は架空の地方都市、千州平野県比良野市の説明に移っています。

この比良野市の説明の中で、大きな地方都市がよく「東京並み」などと言うけど、二十三区の大きさや首都圏の広がりは、比べるなら地方の県のサイズなんだと言う話があって、これを橋本治は、新宿と渋谷の間くらいの距離感に海も山も飛行場も埼玉県的ベッドタウンも平気でブチ込んでしまうという、とんでもないシュールな大都市が日本の各地に出来上がって云々と言ってますが、これって、狭いエリアになんでもブチ込まれている地方都市がシュールなのか、それとも東京が広過ぎると言う話なのか、どちらなんでしょうね?

都内及び近郊を生活圏にしていてたまに地方の大きな街に出かけたりすると、目が届く範囲に駅も空港も高速道路もビジネス街も住宅街も繁華街も観光地も自然も、ほぼほぼ全部そろっていることに新鮮な驚きがあったり、逆に都内や近郊をブラブラ散歩してると、二十三区や首都圏の広がりのかなりのエリアは都会っぽくも今っぽくもないなと思ったり、そんなあれこれを頭の中で少し転がしてみたりしながらも、目は先へ先へと文章を追いかけてしまうので、「出来るだけゆっくりと読み進めたいのに、困ったなあ。。。」って感じです。

#橋本治 #人工島戦記

20220521「人工島戦記」

昨日2022年5月20日、買ったまま今までずっと手をつけずにおいた「人工島戦記」を読み始めようとついに決意しました。

1,400ページ弱、6センチ近い厚み、2キロ近くはあるんじゃないかと言う重さ、そう言ったボリュームに怯んでいたわけではなくて、この未完の「遺作」を読み終えてしまったら、この先橋本治の新作に触れることはできなくなるんだ(おそらく)という思いが、この本を手に取ることから自分をグズグズと遠ざけていたのだと思います。

いつか読む本として、橋本治の遺作がいつまでも未読のまま自分の本棚で待っていてくれる、それはそれで幸せなことのような気が今もしてます。

でも、「あとでゆっくりと楽しもう」の「あとで」は決してやってこないとか、仮に来たとしてもその時には自分の感じ方が変わってて、期待してたほど面白くなくなってしまうとか、なんかそういう話を人から聞いたり自分でも体験したりと言うことが続いたので、ついに意を決して本棚から取り出しました。

さて、これから読み始めるぞと決意はしたものの、できればなるだけ長い時間をかけて楽しみたいと言う思いが自分の中にあります。

とは言え、これだけの厚みだから読むのにそこそこ時間かかるだろう、そう思って「第いち部」から読み始めたのですがー

マズイ、これはマズイ!

のっけから面白くて、グイグイツルツルと読み進んでしまう、この調子だと思いのほか早く読み終わってしまうかもしれない。。。

なんとかせねば。。。と思って、苦肉の策で始めるのがこのブログです。

「人工島戦記」をなるだけ読み終わらないように読み進める〜その方法を考えながら、ああでもなくこうでもなくと寄り道と回り道をたっぷりとしながら、ブログに書きながら、人工島と橋本治の重力圏内に留まったままどこまで遠くに行けるか試してみたい、そんなことを今は考えています。

#橋本治 #人工島戦記