橋本治戦記

橋本治さんの遺作にして未完の大作「人工島戦記」を、如何に読み終わらずに読み続けられるかチャレンジする日記です。

20220523「人工島戦記」第一章〜第四章

「昭和の三十年代というのは、とんでもない時代だった。」
と「人工島戦記」は始まりますが、そこで例に挙げられているとんでもなさは、カレーライスにソースをかけるとか、外国行き飛行機もプロペラ機だとか、汲み取り式のお手洗いとかステテコとか、昭和四十年代後半生まれの自分にとってはそんなに違和感ない、何なら懐かしささえ感じちゃうようなもので、「ああ、自分の過去や追憶は『とんでもない』と言われるようなものだったのかぁ。。。」などと、なんとなく他人事のようにぼんやり考えているうちに、小説は架空の地方都市、千州平野県比良野市の説明に移っています。

この比良野市の説明の中で、大きな地方都市がよく「東京並み」などと言うけど、二十三区の大きさや首都圏の広がりは、比べるなら地方の県のサイズなんだと言う話があって、これを橋本治は、新宿と渋谷の間くらいの距離感に海も山も飛行場も埼玉県的ベッドタウンも平気でブチ込んでしまうという、とんでもないシュールな大都市が日本の各地に出来上がって云々と言ってますが、これって、狭いエリアになんでもブチ込まれている地方都市がシュールなのか、それとも東京が広過ぎると言う話なのか、どちらなんでしょうね?

都内及び近郊を生活圏にしていてたまに地方の大きな街に出かけたりすると、目が届く範囲に駅も空港も高速道路もビジネス街も住宅街も繁華街も観光地も自然も、ほぼほぼ全部そろっていることに新鮮な驚きがあったり、逆に都内や近郊をブラブラ散歩してると、二十三区や首都圏の広がりのかなりのエリアは都会っぽくも今っぽくもないなと思ったり、そんなあれこれを頭の中で少し転がしてみたりしながらも、目は先へ先へと文章を追いかけてしまうので、「出来るだけゆっくりと読み進めたいのに、困ったなあ。。。」って感じです。

#橋本治 #人工島戦記